●はりきゅう治療が効く『3つの理由』
① βエンドルフィンが分泌される
はりきゅう治療は、神経に刺激を与える
“刺激療法”
という面があります。
手や足のツボに鍼を刺すと、
その刺激が背骨の中にある脊髄に伝わり、
脳へと上っていきます。
こんな流れです。
手足←はり・きゅう(刺激)
↓
神経
↓
脊髄(背骨の中)
↓
脳
脳に伝わった刺激で、
脳は「快楽物質を出せ!!」って
命令をすることがわかっています。
その快楽物質の名前は、
あの有名なβエンドルフィンです。
この快楽物質は、
ワクワク感や、
前向き感など、
ポジティブな感情を生み出します。
この感情が出ることにより、
うつや自律神経失調症で生じた
無気力感、
憂鬱感など解消することができます。
(他にも、痛みを改善する物質も出すように命令します。)
また、
この快楽物質が出るから、
はりきゅう治療は気持ちがいいんですよ。
参考
鍼刺激と鎮痛作用 明治鍼灸大学 生理学 岡田薫
② 報酬系の機能改善
報酬系というのは、
“欲求が満たされたとき”とか、
“満たされると分かったとき”に、
スイッチが入って、
快感を与えてくれる神経系です。
たとえば、
“のどが渇いて、水を飲んだとき”
“この仕事が終わったらボーナスが出る!と分かったとき”
“誉められたとき(これをやると誉められると分かっているとき)”
そんなとき快(気持ちいい)の感覚になりますよね。
これが、報酬系にスイッチが入ったときです。
うつ病の方は、
この報酬系が十分に機能しなくなった状態と、
いわれています。
スイッチが入らなくなっちゃったり、
働かなくなっちゃうんですね・・・。
はりきゅう治療は、
脳の報酬系に働きかけて、
ストレスを和らげるという研究結果が出ています。
だから、うつ病の方にも効果があるんですよ。
参考
明治鍼灸医学 第27号:27-45(2000)
拘束ストレスラットへの鍼通電刺激の脳内モノアミンに及ぼす影響 加藤麦
それに、
この報酬系は大脳辺縁系の
“側坐核(快感をつかさどる場所)”にも
影響しています。
大脳辺縁系は、
情動に関係してきます。
はりきゅう治療は、
快の感覚で不快な情動を抑え、
「不快ネットワーク」を働かなくさせます。
その結果、
自律神経の交感神経(アクセル)や
内分泌系を興奮させることが少なくなります。
こんな感じです。
快の感覚(はりきゅう治療)
↓
情 動(不快、悲しみ、怒り、恐怖)
↓ × 伝達しなくなる。
視床下部
↓ × 伝達しなくなる。
下垂体
↓ × 伝達しなくなる。
自律神経系(交感神経=アクセル)
内分泌系
女性ホルモン系
睡眠リズム
正常
脳が命令を誤って発することが抑えられば、
当然、自律神経がそれを身体に伝えることもなくなります。
だから、
自律神経失調に効果が出るんです。
③ ストレスに対する適応能力が上がる
さらに
上記の①②の理由で、
はりきゅう治療により
脳の働きが活性化されますので、
ストレスに対する適応能力が上がります。
たとえば、
以前ならイライラしたり、
不愉快になったことでも、
受け流すことができるようになります。
このようにストレスに対して
強くなった状態になれます。
これも、
はりきゅう治療の大きな特徴の一つといえます。
そのため、
症状がなくなっても、
未病治療(予防)や
健康の増進のためとして、
はりきゅう治療を継続されることを
お勧めしています。
はりきゅう治療はこれだけ、
脳に働きかける治療なのです。